こけしを3つ送って@青森
青森は雪が降ったら分からないけど、夏の終わりに行くのは移住したいくらいに大好きなところだった。もうしばらく行かないくらい遠いけど、またすぐにでも行きたいくらいに気に入った。美術館が多いこともそうだけど、こんなに旅行でご飯にこだわったのはじめてなほどに魅力ある食文化。楽しかった。ほんとに楽しかった。
9月21日
午前中まで仕事をする。今日の乗り降りが時間通りに出来るのか気になって仕方ない。午後休を取って職場の北九州→自宅の福岡へ。いまのところ遅延なくスムーズに帰宅。
家に帰ってパッキングと長期不在のため植木を腰水処理して掃除をする。コインロッカーサイズのキャリーケースを新調したけど、夜のオレンジ街灯色で可愛い。うきうきと家を出るが大分経ってから肝心なゴミ出しをしていないことに気づく…戻る時間が惜しいので諦めて忘れることにした。
福岡空港は完全にピエールエルメお楽しみチェックポイントと化していて、やや余裕があるのでメレンゲ菓子を買う。期間限定オレンジをすすめられてホイホイお買い上げしてしまった。でもオレンジが1番美味しかったから、みんなにすすめたくなる気持ちもわかる。
17:00福岡空港→19:00成田空港。少しウロウロする時間があったのでちゃんと寝れるようにおにぎり、鬼レモン9%とじゃがりこを装備する。飲みきってしまえばあっという間に眠って中途覚醒することなく22:20バスタ新宿→8:05弘前駅前へ。
9月22日
弘前駅にて夜行バスを降りる。青森は寒いと身構えていたけど、昨日の夜の東京が寒すぎたかも。朝でもこっちはジャケット着ててちょうど良いくらいの心地よい天気に恵まれた。
朝早すぎる田舎は何もすることがないのだろうと推測していたけど、虹のマートという建物があるらしい。駅から徒歩すぐ、歩き出すと交番の横に早速くだもの無人販売が佇んでいる。りんごこんなに安くてやっていけるのだろうか、メロンもまるまる1玉が値下げして800円と投げ売っていた。青森のりんごと秒で遭遇し、りんご大国の洗礼を受けた気がする。
すぐに虹のマート着。この虹のマートはなんとopen8:00の海鮮、惣菜、八百屋、骨董?、パン、コーヒーなどステキな品揃え抜群の施設だったのだ!
○朝ごはん虹のマート
まず挨拶がわりに1周する。九州とはまったく品揃え違う…!?こんなにも違うのか???と思うくらいに違うことに衝撃を受ける。筋子のつぶつぶの輝き、見たことないくらい大きな洋梨、こんなに種類あるんだなという多様な林檎、納豆はんぺん、福岡より安くていっぱい入った明太子…素晴らしいので4周くらいして目で楽しんでから海鮮丼をイートインコーナーで食べた。大満足だ。
『「もしもし、奈良さんの展覧会はできませんか?」奈良美智展弘前 2002-2006 ドキュメント展』
コレがかの有名な弘前れんが倉庫美術館!外観から圧倒的存在感を感じながら進むと大きな窓から奈良美智さんのおっきな犬が見えた。表にまわると犬は入り口でお出迎えしてくれててテンション上がるしかない配置。
入場券はシールということで入場券集めマニア的にはキレイに持って帰れないなと思いつつ上着に貼る。レンガの美しさを中心に高さある重厚な壁の美術館がもつ建物としての空気と、展示されている過去の奈良さんの展示会と発起人たち、ボランティア活動、地域へ波及していった芸術の力が丁寧に表された内容だった。
美術館の強すぎる空気は広くて抜けのある構造により、奈良さんの大きな作品たちものびのびと調和してみえてきた。中くらいの犬もいて乗っていいということなので監視員さんに撮影頼んでみたけど、出来ないのでと丁重にお断りされたため近くにいた方にお願いしてみた。このときの方ほんとうにありがとうございました。
出ると弘前の用事が済んでしまった。めちゃくちゃ時間があるので弘前駅→青森駅へ向かう。アキュア自販機で売っていたりんごジュース王林を買ってみる。濃厚なりんご果汁を感じる。えええ?美味しすぎるじゃんともうひとつ買ってしまった。
○昼ごはん王林りんご剥いてるパック
青森駅まで鈍行の小さな電車に乗ってコトコト揺られる。地方都市の収穫直前の黄金の田んぼをみると実家の周りみたいで落ち着く。青森の駅はSuicaが対応してなくて久っ々っに切符を買った。バスはSuica対応。またコトコトと青森駅→青森県立美術館へ向かう。
『ミナ ペルホネン / 皆川明 つづく』
コレがかの有名な青森県立美術館!!昼なのでまだ光っていないけど、木のネオンがいっぱいある外観でるんるんしてきた。
入るとすぐにミナの生地たちがお出迎え。展示室に向かうとダダダーンとシャガールの超巨大幕作品が四方の壁にそれぞれ並んで観るヒトビトを囲んでいて、シャガールをこんなにも感じる空間にまず通されるとは思ってなかったんだけど!
まずはミナ展から進んでいく。デザインの源、デザインされたもの、デザイン〜製品の製作過程〜実際の利用までがまとまって展示されている。デザイナーや関わりのある生産・製造者だけでなくユーザーのコメントが日常にミナの服が寄り添っている様子がありありと浮かんできてグッときてしまった。
展示室内は白色とコゲ茶色の壁は自然なコントラストを展示空間に生み出していて、動画投影をコゲ茶色に映すの今まで見なかったから面白かった。皆川さんが一目惚れして買った上着が可愛すぎて奮発してしまうのとても共感するキュートさだった。
コレクション展へ向かう。初っ端から奈良さんめちゃくちゃある。大きくて可愛くてでも可愛すぎない。豊田市美術館ぶりの奈良さんの作品がいて、あのときのときめきにまた出会えると思ってなくて嬉しかった。写真撮っていいのもとてもとても嬉しくてパシャパシャ撮ってしまった。
特にあおもり犬が人気で、手前の丸い花壇と室内の丸いベンチでみんなが寛いでるのが微笑ましかった。バスまで時間があったので、色々館内ウロウロしたあとに奈良さんの1室目リピートしてしばらくあおもり犬を独占できて贅沢だった。
○晩ごはんゆうぎり、ゲストハウスオランドの二階
ゆうぎりで地のものを食べたときに地酒を飲んでちょっとキツめに酔ったので、ゲストハウスに着いてからハンバーグ定食を注文した。モヤモヤしている酔いには米を摂取することで中和できるという私の人体の神秘。食べ終わる頃にはスッキリと酔いが覚めてた。りんごの木箱で仕切られたゲストハウスの部屋たち良かったな。
9月23日
○朝ごはん虹のマート
昨日に引き続き虹のマート。またぐるぐるして筋子+ほかほか白ごはん+納豆はんぺん+いがめんちを買い集めイートインコーナーで食べる。筋子は味付けしてないと思ったら塩漬けで塩辛くてしょっぱかった。これが普通なのかな?はじめての筋子は予想と違っててびっくりしてしまった。こ、これが筋子…いくらのつぶつぶはプラセボなのかいつもより力強い弾力でプチプチはじけてて噛むの面白かった。納豆はんぺん揚げたてで美味しかった。いがめんちは地元に根差した料理とのこと。大きな洋梨(今日食べ頃だよ)を買ってみるなど冒険した2回目虹のマートだった。
弘前駅→10:00新青森駅へレンタカー24時間パックを予約受け取りしに行く。キミが1日中相棒となるんだ!新青森駅→十和田市へ。
『名和晃平 生成する表皮』
『常設展+アート広場』
『space 青柳菜摘 亡船記』
コレがかの有名な十和田市現代美術館!建物前からいろいろな超巨大作品たちがあちらこちらに存在している。
常設だけでお腹いっぱいになるくらい楽しくて、特に『ザンプランド』栗林隆は最初なんだか分からなくて、んんん?と前の人の動きを見てたらんんん!?となって実際自分がやってみたらすごい楽しかった。
あと名和さんはほんと青森に来てよかったと思った。『Biomatrix(W)』のぷつぷつした物体の繰り返す小さな音が心地よくてずっとずっとずっと観ていられそう。『PixCell-Deer#52』は、やっとやっと観ることができた。声出そうなくらいに嬉しかった。キラキラした球体に閉じ込められた鹿の剥製がある角度から見ると見返り鹿の埴輪みたいだった。
○おやつアップルパイとりんごジェラート
ずっと遊んでいたかったけど、雨も降ってきたし十和田市→八戸市へ。お腹が空いたので八食センターをぐるぐるする。海鮮もお土産も果物もお酒も…ここには何もかも集まってきている。新鮮な大きな洋梨、カチカチな桃、りんごを実家に送ってみたりした。旅行してて家に何か送りたい気持ちになったのは初めてだった。あまりにも九州と違うので驚きを届けたくなってしまった。
そしてじぶんは何食べよう、でも時間があまりない、でも海鮮のバーベキュー用ってなんだろう?とうろうろしてたら七輪でご飯が食べられる素敵スポットを見つけた!
○夕ごはん七厘村
入口斜め前の揚げ物屋さんの隣でホッキ貝、牡蠣、サザエ、イカを買い込む。七輪で焼きやすいように殻を開けてくれたり、貝を切ってくれたり、牡蠣は生でも良いよというので焼きと生でひとつずつ買ってみた。美味しい。トングと共に貸し出された醤油を牡蠣に垂らしてみる。めちゃくちゃしょっぱくて塩辛かった。醤油を使うのはやめよう…これが東の醤油の洗礼…。
美味しく食べていると斜めのベロベロに酔ってそうな見た目のおいちゃんから20年前に別れた元カノと同じようなワンピース着てるということで声をかけられた。最後大根の漬物をもらってサヨナラした。漬物でコミュニケーションを取るなんて母方の祖母みたいでじーんときてしまった。食べ終わって八戸市美術館へ。夜まで開いてるなんて素晴らしい。
○八戸市美術館
『コレクションラボ002 地をみつめる』
展示内容も好きだったんだけど、建物が市民にひらかれたフリースペースという立ち場を全体的に伝えてて名前は美術館ではありつつも役割はいろんなものを担えるハコというところがよかった。
八戸市→弘前市へ。地方に行ったらスーパーに寄るのが癖になっているのでちっちゃな個人コンビニとおっきなスーパーに寄る。土地土地の果物、野菜、魚、惣菜、カップ麺、お菓子、ラムも売っている肉コーナーにグッときた。このクセは安住紳一郎のラジオで安住氏が醤油コーナーを見ちゃうと言っていたので真似しているが日本なのに全然違うのが面白い。帰りは有料道路で帰ったけど、信号あんまりないからめちゃくちゃ飛ばす車たちとともに帰路に着いた。
○晩ごはん果物
せっかく大きな洋梨と普通の梨とぶどうを買ったのでゲストハウスでちょっと包丁を借りて食べた。食べ過ぎたくらいに食べてちょっと後悔したけど、こんな後悔の仕方は二度と来ない気がするのでセーフ。
9月24日
○朝ごはん虹のマートにてお肉ゴロゴロカレーと海鮮丼
もはやお馴染み朝ごはん処。8:00openでこの3日間助かりまくりで気になっていたカレーとリピートしたかった海鮮丼。土砂降りのなか弘前市→新青森駅へレンタカー返却する。新青森駅は栄えていて、アップルパイ連続3回1位になった焼きたてアップルパイを食べる。甘みのなかに濃厚バターの塩気がちょうどよくて大きかったけどペロリだった。りんごジュースがフリーで置いていて、青森の可能性ってまだまだあるんだなと感じた。売店で嶽みきとうもろこしの茹でを買う。名産でそろそろ旬が終わるのであまり置いていないというセールストークも上手かった。
ここでこれまでに買いすぎた果物とお菓子を妹から頼まれていたこけしとともに送る。こけしは虹のマート内の骨董屋さんで可愛いなと思って30センチくらいのものと八戸市美術館で買った八幡馬を添えてみた。循環バスにて新青森駅→三内丸山遺跡へ。
世界遺産登録1周年記念特別展「北海道・北東北のJOMON」+常設展
館内を観ていたが、1時間ごとに行っている遺跡めぐりボランティアガイドへ参加する。予定では50分だが人が増えて1時間20分くらい掛かった。遺跡めぐりで外にでたら晴れていてラッキーだった。
復元されている居住スペースは柱の位置と木材を使っていたという事実以外は想像でつくっているため、目の前にあるものを信じすぎることなく発想豊かに当時に思いを馳せるようにも説明があってなんていい案内なんだろうと感動した。
子どもの方が何倍ものお墓の数があって、巨大な6本の柱の跡があって、野球場の建設で偶然見つかった遺跡を発掘して大半は埋め戻してまた眠りについていて、ひとつひとつがロマンチックな場所だった。栗のソフトクリームを食べて、そろそろと三内丸山遺跡→青森駅へ。
駅はほんとに小規模で心配になるくらいだけど、海の方へ歩くとお土産屋さんがいっぱいあって3ヶ所をずっとぐるぐる丁寧に丁寧に歩いてみた。アスパムという建物の三角の紅茶アップルパイは焼きたてでサックサクでしっかりと紅茶の味もしてビックリするくらいに美味しくて優勝だった。あと2階で県立美術館でみたこぎん刺しの実演してて制作のお話を伺った。みてるだけで目がチカチカしてくるのに針の運びを慎重に拾っていて、美術館でみたのはより超絶技巧だったんだなと実感した。
まだまだバスまで時間が有り余っていたので、まあまあ歩くアートな灯台まで散歩。暗い海辺を歩くのは心地良くもあり不気味でもありわくわくもあり、途中であまりにも遠く感じて挫折がチラついたけどなんとか往復できて良かった。やっとこさ19:20青森駅→6:40バスタ新宿へ。とっても運動したのですぐに寝た。
9月25日
○朝ごはんマクドナルド
早く着きすぎて美術館が開いていない。そりゃそうよね9:30になればどっか開くでしょうと、とりあえず上野へ。ほんとはリニューアルした国立西洋美術館に行ってモネを浴びたかったけど展示準備で今回はお預け。150周年の東京国立博物館へ。
○東京国立博物館 常設展
国宝ばかりなのにこのあと国宝解放の展示が予定されててまだ上があることに震えた。古代コーナーにみみずく土偶たんに会いに行ったら、遮光器土偶たんとハート型土偶たんがなんの告知もなく突拍子もなく揃っていて拝み倒した。もっと宣伝していいと思うの。
あと時間的にひとつしか行けなくて、やっぱりいまの東京でなんか選ぶとしたらコレでしょ!
○国立近代美術館
『ゲルハルト・リヒター展』+常設展
リヒターのひとつずつのシリーズがカッコよくて面白くて天才じゃん、天才じゃんとつぶやきながらまわった。特にガラスをあちらこちらに使う手法が、低反射の額じゃないと嫌だった価値観を変えられた。わたしや他者、他作品が映り込む世界観がガラスへ反射されるのは意味が広がる体験でもあるんだと思えるようになった。常設はクレーがいて最高。クレーがいれば大体のことはどうにかなってしまう。
○昼ごはん神田 近江屋洋菓子店ケーキ
都内→成田空港へ。第1ターミナル久々で歩き回ってたら全然余裕なくなった。18:50成田空港→20:55福岡空港
○夕ごはん牧のうどん
まえも福岡戻ったら牧のうどん食べた気がする。安定のやわを頼み秒で出てくる。美味しくてお腹いっぱいで帰ってすぐに寝てしまった。
追伸 家族に青森の良さまで届けられたのかはさておき、伝えたくなるくらいの楽しさだった。青森と地元は同じ地方都市なのに旅行は楽しい。
地元は人々の距離が近すぎて実家以外、しんどさが増してきたから帰ることもどんどん無くなっている。三内丸山遺跡はたぶん段々と?集落に人が居なくなり文明が途絶えたらしい。何が足を遠ざける要因になったのだろう。食料や気温なのだろうか?
だとしたら食料や気温の安定が見込めている現代では、なにが文明を途絶えさせる要因になるのだろう。わたしはどこへ行くのだろう。ポジティブな理由であるように努めつづける自分で在りたいが。