きりんの散歩

趣味は美術館めぐり。生息地は福岡。遠くまで行くこともあります。アイコンは我が家のモネちゃん。twitter:@kirin11_04

博多の仙厓さん@福岡市美術館

 

ゆるふわ日本画が持て囃される昨今。大体ラインナップされがちなのが仙厓さん。私は2016年出光美術館で行われた「大仙厓展」で超有名作きゃんきゃんをみて衝撃を受けた。こ、これが犬だって!?どうみてもブタっぽい動物にしか見えないが、きゃんきゃんとしっかり書き込まれているし、キャプションも犬と説明している。水墨画といえば写術的な桃源郷しか辞書になかったため、仙厓の自由さと可愛さと亀のような石を友だちに自慢したり生涯大切にするほっこり人柄にすっかりファンになったのだ。

そんな仙厓は晩年博多で過ごしている縁から福岡市美術館のコレクション展には仙厓さんコーナーがあるのだ。リニューアルして1回目は2階のダリとかミロとかがフュチャーされていたが、入れ替え後の今回は仙厓さんが運営推されになっている。撮影コーナーは仙厓さんのなかでは可愛めな犬がパネルになっていた。


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1階のコレクション展は写真撮影自由になっている。目録が部屋(秋の名品展、仙厓-小西コレクション)ごとにあり、仙厓コーナーにはなんと!釈文一覧表が!!こんな美術館ほかにないのでは???はじめて配布を見た気がする。対して読めやしないが記念にもらってきた(釈文は仏教の解釈を説明した文で作品内に書き込まれたもの)。部屋の中は、風俗、風景、馴染みの動物、頑張って書いたんだろうなという人物画、ゆかりの品が並んでいた。イチオシは真ん中に落款印を押された牛。

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2階のコレクション展はA室は草間彌生、ダリ、ミロ、フジタがドドーンなのは変わらず。隣はちょこっと入れ替わってた。B室も新しく「福岡の現代美術、九州派以後」になっていた。解説文とキャプションと書物が多めなので読み応えがある。熊本ぶりに浦川大志を見て、やっぱり昔やってた外国風の七色が一筆書きできるCMみたいだなって思ったし、その名前が分からなくてモヤモヤした。C室は変わらないと思いきや、アニッシュ・カプーアの虚ろなる母に看板でてた。あれ前からあったかな。ここではモーリス・ルイスが好きでどろっとして、じわーっとした生地とインクの境目が飽きなくてよい。

 

今日は企画展のギャラリートークがあったので参加。ざっと50人くらいいて都会の人の多さに驚いたが、1つの絵を説明していても同じモチーフの絵が近くにいっぱいあるので人混み感はなかった。学芸員さんの説明によるとモローは国立で始めて個人美術館になった人で、私の好きなモネと同じ時代に活躍した画家。モネなどの印象派が実物をモチーフにしていたのと反対に、モローは神話など空想の世界をモチーフに象徴主義の先駆けとなった。そのモチーフは神話や聖書の男性を誘惑したり手玉にとる女性が多く、強い女性像が見てとれる。私的には女性嫌いが転じて何だかわからないけどズタズタに殺されてしまったこの展示内で唯一男性のみが描かれた作品と、学芸員さんのチャイナボタンワンピースが気になった。前者は画家の飛躍的な解釈をきいてみたいし、後者はワンピース収集癖持ちとして惹かれてしまった。モローはパッとみ私の興味からは遠いけど、解説きいたり実物みたら面白かった。追っていくとなんだか女性に対して拗らせていると思わせておきながらも、長年付き合った彼女いたし、グッズコーナーには彼女とツーショットで天使風に羽をつけているラブラブ落書きがあってただのピュアだった。ラブラブ落書きは画家が生きてたら絶対に赤面ものと思いながらも購入。事前情報はなくてもキャプション多めで有難い。必要な情報としてはこの企画展めちゃくちゃ寒い、看板出すくらいに寒いということ。上着は必須。

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ミュージアムショップに新作が増えてた。マスキングテープずるいぞ、商売上手だなとホイホイされた。

 

追伸

実家の猫を抱きしめて、吸い込み、肉球やお腹をふにふにするセラピーを定期的に受けなければ、ふとしたときに猫の名前を呼ぶ病にかかってしまった。会いたい。

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